エロゲの限界としての「トラウマ/問題解決」

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よくわかんないけど求められてるイメージからは『NG恋』とかがいいんじゃないでしょーか(勿論コトは除く)。


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むしろあらゆることが問題に回収される身振りというか事実こそが危険というか限界ではないかと思うのです。恋愛という次元だろうがその先という次元だろうが、問題という図式に喰われてしまうのでは同じようなものになりかねないのではないだろうか。


今のエロゲの最大の特徴にして、今のエロゲの限界は何かというと、それは「問題解決/解答で終わる」という点ではないでしょうか。抜きゲーとかは別として(やらないからわからん)、物語重視あるいは萌えゲーにおいてならば、全てのゲームがそうかと問えば勿論ノーですが、かなりの多数がそうかと問えばイエスと言わざるを得ない。もうちょい言うと「ヒロインの問題解決/あるいは問題への解答(ないしその示唆)」、尚ここでいう問題というのはエロゲ的な意味でのトラウマも含みます。そこに主人公も絡める(ヒロインの問題解決ではなく主人公の問題解決やトラウマ対応)ことは多々ありますが、しかし結局はそうである。つまり問題であり、問題解決である。要は全てが問題・問題解決に回収されている

告白で終わるかその先を描くかとかも、この形式の上では意味ねーわけですよ。結局どこをどう何をどう描こうが、最終的には問題/問題解決に回収されてしまうのですから。告白(のあたり)に問題が配置されるのか、その先のどっかに問題が配置されるのかの違いでしかない。恋愛も生き様も青春もコミュニケーションも、ぜんぶトラウマへのカウンセリングと問題解決への寄与という構図に還元されてしまう。今のエロゲに足りないのは――今のエロゲの限界はそこではないだろうか。最近で言えば『クドわふたー』も『おとぼく2』も……ああ、おとぼく2なんて共通パートでは、深く考慮した結果繋がってるけど断絶している関係の瞬間瞬間という現代的コミュニケーションを十全に描けていたのに、話をまとめる個別ルートに突入したら、その辺全部投げ捨ててただのヒロイン問題解決ゲーに成り下がってしまうという、エロゲ構造の典型的な悲劇に出くわしてるし!(※ルートによって多少変わるけど) 「問題/問題解決」がエロゲの限界ってのは、つまりこういうことが言いたいわけです。なにを描いていても・どんなことも、(個別ルートでの)「問題/問題解決」というゲームを終わらすための手段が全部かっさらっていってしまう……!

ぶっちゃけ問題解決という図式ばっかという事実にある意味飽きを感じる。
もちろんそれ以外もあって、たとえば問題解決という図式自体に中指おったててるタカヒロさん作品や、そんな図式ともセックスしてしまっている保住圭作品や、スケールが十個くらい違うのでここまで来ると次元が違うとしか言いようがない桜井光作品や、主人公の問題すらも「問題という言葉に還元できないレベル」にまで真摯に向き合った結果一から十まで全部描くことになった奈良原一鉄作品とかとか(そういえば「告白で終わるエロゲ」の極北って『刃鳴散らす』だよね、ここまで極地だとそれは素晴らしい)、そのエロゲ的構図の向こう側が見えている作品もあるんですけど。もちろん主流ではない。
問題解決やトラウマ解決というのは、「先」を示唆するために必要な、ある種の「契約」ではないかと思えて。何十時間もプレイしておいて「彼はエピローグの2ヵ月後くらいには別れましたよ」なんてオチは(なんてオチを想像できるようでは)さすがに虚しい、だからその作中で描かれない継続の可能性を指し示すために、問題やトラウマの解決というものが用いられている。これだけこの二人は(精神的に)相性が良いのだ、これだけこの二人はお互いにとって不可分なのだ、だから物語が終わった後でもそう簡単には別れない――要するに、わざわざ数十時間プレイするエロゲで描かれる物語なんだから、それに相応しく「彼らの人生にありふれた恋」ではなく「運命の恋」的なものに高めるための契約として、問題解決やトラウマ解決があるのではないだろうか(あるいは、問題解決やトラウマ解決の結果としてソレがあるのではないだろうか)。彼らの恋愛を崇高化するひとつのメソッド。さらには、エピローグで数年後の結婚した彼らの姿を描くとかでさらに補っている作品も、決して少なくはない。
―――しかしその正逆に、別に別れても問題ないものを彼らは(作中の範囲で)既に得ているぜ、あるいは別れても問題ないという事実を逆に作中で描いてるぜ、というのを十全示した(別に作中で別れてはいないけど、もし別れても大丈夫だってのを想像できる)ものもある。それこそタカヒロさんとか保住さんとか。そういう方にひとつの未来があるんじゃないかなとか思いつつ終わり(まとまってない)。